小・中学生、そして親御さんのみなさん、
こんにちは、東大コネクト講師のひろまつです。
今回は「音読」についてお話しさせてください。
突然ですが、どういうわけか僕、昔から音読が病的に好きなんです。
小学1年生の時に、出された宿題の5倍はやるくらいには音読が好きでした。
小学6年生の時に、物語「風切るつばさ」の中のセリフ「自分の顔、自分の足、自分のつばさ、みんな嫌だ!」をエヴァのシンジ君ばりに感情込めて読んだら、クラス中からドン引かれたことが今でもトラウマなくらいには表現豊かに音読をしていました。
中学生の時にはその音読で培った「聞かせる力」を駆使し、3年連続で校内弁論一位を獲得するくらいには言葉の魔術師でした。
高校生の時には自分の声を録音し、せっせとネットに上げるくらいには言葉や表現の可能性に心を躍らせていました。
大学生の時には受験の時からずっと入りたいと思っていたアナウンスサークルに所属し、ボイスドラマを録ったり、学園祭の司会をやったりなど、僕にとってそれはそれはユートピアなキャンパスライフを謳歌していました。
おっと失礼、愛が溢れてしまいました。ここから真面目な話に入ります。
ここまで話したとおり、僕は病的なまでに音読が好きなのですが、みなさんにとって音読ってどういうイメージでしょうか?
小学生の宿題として定番ですが、やはり「やらされている」「なぜやっているのか分からない」「やらなくてもバレない」といったイメージが強いのではないでしょうか?親御さんの中にも「聞いてあげなければならず面倒」という思いを持っている方がいるかもしれません。
しかし、宿題として定番であるからにはそれなりの理由があります。
それはズバリ「音読は成績を上げるのにめちゃくちゃ有効だから」なんです。
音読は簡単なようでいて、実は結構いろんな能力を求められる作業です。
まずは目で文字を確認・理解し、瞬時に頭で声の大きさや抑揚を考え、声に出して音読しながらまた次の部分を目で読まなければなりません。また同時に自分で出した声を耳で聞き、音として聞いた情報を再び理解しています。
かなり複雑な作業ですよね。もちろんですが、これらを瞬時にやるためには、文章中の漢字の読みや言葉の意味がしっかり理解できている必要がありますね。
国語の成績は音読させてみると一発でわかります。国語ができる子はスラスラ読めているし、反対にできない子は一文字一文字を追うような読み方をしています。
特に国語の問題を解くときには、「文章を頭に置いておくこと」そしてそれを「うまく整理すること」が求められます。スラスラ読める子は無意識のうちにそれができているんですね。
(ちなみに音読を極めようとすると、物語なら行動や背景描写から登場人物の感情を、説明文なら接続詞から強調すべきところ(筆者の主張)を探らなければなりません。これってまさに高校生に受験テクニックとして教えるようなことなんです。小学生のうちから無意識にそれができていれば、特別に勉強せずとも中学生以降の成績も優秀に決まっていますね。)
さて、これまで「国語の成績」のみに焦点を当ててきましたが、僕は音読で培った「読解力」ですべての教科の成績を上げることができると考えています。
なぜなら、すべての教科書は「文章で」書かれているのですから。
例えば算数。小学4年生になると文章題が増え、一気に苦手に感じる子が増えます。文章の意味が理解できず、ただ出てきた数字をかけたり割ったりする子がたくさんいます。
小学5年生の「割合」は小学校最難関といってもいいでしょう。いかに頭の中に文章を置いておけるか、概念を理解できるか。読解力がないと到底できません。
理科なら物事の法則や分類、社会なら背景や時代の流れ、読解力があれば暗記に頼らずともスラスラと覚えられるはずです。
中学生なら英語の音読も最高です。一つの文を最低20回は音読しましょう。文法を覚えるのも大事ですが、英語は学問である前に言語です。英語の感覚をつかめば、なんとなくこの文法の並びはおかしい、なんてことがわかるようになります。
高校生なら暗記法の一つに音読法がありますね。ただ目で読むだけではなく、五感をフルに使って覚えることで記憶の定着をよくします。ちなみに眠気の防止にもなります笑。
このように音読は手っ取り早く成績をげられる最強の手段なんです。これを読んでいるみんな!今からでも全く遅くないぞ!音読しよう!
あとがき
なぜ僕がこれほどまでに音読が好きなのかと考えると、おそらく国語の教師であった母がよく読み聞かせをしてくれたからではないかと思います。
天才スポーツ少年の親はそのスポーツのコーチをやっていて、幼少期から親の姿に憧れて始めたなんて話をよく聞きますが、僕も母のように読めるようになりたくて、という側面が大きい気がします。
ちなみに僕は読書もめちゃくちゃ好きだったのですが、両親ともによく本を読む人たちでしたね。
今調べてみると「読み聞かせ」や「親の読書習慣」は「子供の成績」相関があるというデータがあるみたいですね。(「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」より)
学ぶという言葉は「まねぶ」、つまり真似するという言葉から来ています。
いつの時代も子は親の背中を見て育つ、ということかもしれませんね。